我々3人はいずれも、
2015年に京都大学大学院農学研究科食品栄養科学の修士課程を修了し、
2021年3月には龍谷大学大学院農学研究科博士後期課程を修了し
博士学位(食農科学)を取得しております。
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直心房さいき 店主
才木 充Mitsuru Saiki
「直心房さいき」主人。料理作家。
最高の出汁を使って作る料理は、最もおいしい瞬間を提供したいというのが理念。おいしい瞬間とは視覚、味覚、触覚、嗅覚、聴覚の五感、そして温度を加えた六感で味わっていただくこと。
耳で料理する音を感じ、仕上がった料理の一つひとつ目で見ていただき、香りを感じていただく。そして舌や口当たりで食材が本来もっている旨味や風味を、最も適した温度で楽しんでいただきたいと思っています。
<profile>
1968年、京都生れ。古くから料理屋「さいき家」の三代目として幼い時から親の背中を見て育つ。同志社大学卒業後、他店で6年半ほど修業したのち、家業の料理屋に戻り3代目を継ぐ。2009年、現在地の下河原畔にて新店を構える。2013年に京都大学大学院農学研究科食品栄養科学に入学。料理を科学的観点から研究し、2015年に修士課程を修了。卒論は「滞留性のある泡について」の研究。さらに料理、食に関する学術研究を深め、官学公連携で食のさまざまな研究開発、イベントに携わる。NPO法人日本料理アカデミー会員。京都府立大学の講師のほか、「旨み」や「健康」をテーマに、外国人を対象にした日本料理のレクチャーなども行っている。「直心房さいき」はミシュラン一つ星に選定されている。 -
一子相伝京の味なかむら 店主
中村 元計Motokazu Nakamura
「一子相伝なかむら」六代目主人。料理作家。
高度経済成長と共に飽食の時代を迎え、食べることに関しては非常に贅沢に貪欲になってきました。より美味しいものを求め、自然界の乱獲であったり、また食の安全からくる廃棄であったりと、食をめぐる環境は安定と共に悪化してきています。
日本は食糧自給率43%と先進国で最下位です。一方、廃棄率は先進国でトップ。もし日本の廃棄食物が世界の飢えに苦しむ人々にわたると1日300万人の命が助かるともいわれています。
このように食に関わる問題は多く、料理を生業とする者にとって見過ごしていいのか、何か協力できることはないのか、日々、頭の中をよぎります。
「功の多少を計り、此の来所を計る」。これは食事前に読む禅宗の五観の偈というお経。「この食物は一体どれだけの人の手にかかってここまで来たのかということに思いを馳せて食事をしなさい」という意味ですが、私たち料理に携わる者もこういったことを念頭に仕事をする必要があると思います。
単に料理を作るだけでなく、食について考え、食にまつわる幾多の問題に対処していかねばならないと思います。
<profile>
1962年、京都生まれ。東京海洋大学資源増殖学科(旧東京水産大学)卒業後、嵯峨嵐山の「天龍寺」僧堂にて修行。平田精耕老師に参禅師事して禅を学ぶ。2年間の修行の後、家業に入り料理人としての道を歩む。「伝統は革新の連続であり、新しい料理法、より美味しいもの、美味しくする方法を追求する」と、真摯な姿勢で料理に向き合い、「即味心也」を肝に銘じて代々一人の世継ぎだけに伝える一子相伝を頑なに守り、精進を続けている。また、料理のさらなる奥深さを追求して2013年に京都大学大学院農学研究科食品栄養科学部に入学、研究研鑚を積み、2015年修士課程修了。食に関する研究に余念がなく、科学的裏打ちを考えて料理を作る。TY出演、講師、企業のメニュー開発とさまざまな分野で活躍。第1回和食文化京都大賞受賞。龍谷大学客員研究員。NPO法人日本料理アカデミー海外事業委員長。NPO法人日本料理アカデミー日本料理ラボラトリー実行委員長。「一子相伝なかむら」はミシュラン三つ星に選定されている。 -
木乃婦 店主
髙橋 拓児Takuji Takahashi
「京料理 木乃婦」三代目主人。料理作家。
心地よい音色、優美な色彩、甘美な香り、深淵なる味わい…、それらを縦横無尽に重ね合わせ、料理人としての技術・知性・感性で今までにない、そして時代が要求する美味しさを創造したい。また、日本各地域に求められる食の観光振興に貢献したいと思っています。
<profile>
1968年、京都生まれ。大学卒業後、東京の「吉兆」で5年間修業、故湯木貞一氏に直接、薫陶を受ける。その後、京都に戻り、料亭「木乃婦」の三代目を継ぐ。シニアソムリエや利き酒師の資格を取得し、ワインや日本酒に造詣が深く、ワインと和食とのコラボなど常に新しい調理法や素材に取り組んでいる。2015年に京都大学大学院農学研究科食品栄養科学の修士課程を修了。伝統的な日本料理を基本としながら、フランス料理や分子化学の理論など最新の技法を積極的に取り入れた新しいスタイルの日本料理を展開。業界を代表する若手料理人として注目されている。「日本食普及の親善大使」も務め、海外の多くの食イベントに招聘される。「京料理 木乃婦」はミシュラン一つ星に選定されている。